柏崎刈羽原発の再稼働反対を新潟県知事選の最大の争点に掲げた米山隆一氏が当選したことで、同原発の再稼働は一層困難になりそうだ。エネルギー政策や東京電力ホールディングス(HD)の経営への影響は大きく、政府は危機感を募らせている。
米山氏が16日夜、柏崎刈羽原発の再稼働を「認めることはできない」と明言したことに対し、経済産業省幹部は「全国の原発再稼働に影響が出なければよいが」と顔を曇らせた。
原発を「重要なベースロード電源」と位置づける政府にとって、福島第1原発と同型の沸騰水型である柏崎刈羽原発を再稼働することはエネルギー政策の立て直しの第一歩となるはずだった。
政府が描く東電HDの脱国有化の道筋も不透明になる。再稼働しなければ、1基当たりで年間約1200億円の収支改善効果は得られない。国に肩代わりさせている福島第1原発事故の賠償費用を返済する財務体質改善も難しいままだ。原発で発電する安価な電気を生かせず、料金水準を引き下げられないため、電力自由化での競争にますます後れを取ることにもなる。
東電HDは、米山氏の当選を受けて「知事選は県民の皆様が選んだ結果と受け止めている。福島第1原発事故の反省と教訓を踏まえて、柏崎刈羽原発で講じている安全対策などについて、引き続きしっかりと取り組んでいきたい」とのコメントを出した。
しかし、東電関係者は「(与党が推薦した)森民夫氏となら建設的な話し合いができると思ったのに」とため息を漏らした。