さいたま芸術劇場で蜷川さんしのぶイベント 吉田さん後継決定に拍手

 5月に80歳で死去した演出家、蜷川幸雄さんの業績を振り返るイベント「蜷川幸雄と『彩の国シェイクスピア・シリーズ』」が15日、彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市中央区)で開かれた。同劇場の開館記念日で蜷川さんの誕生日でもあったこの日、同シリーズの後任芸術監督に俳優で演出家の吉田鋼太郎さん(57)が就任することが都内で発表。会場は故人をしのびながら、喜びのムードにも包まれた。(菅野真沙美)

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 約600人が集まったイベントでは、蜷川さんが18年にわたって手がけた同シリーズの映像が、作品を支えた翻訳家の松岡和子さん(74)の解説とともにスクリーンに映された。蜷川さんが演技指導をする様子に、思わず瞳を潤ませる来場者の姿もあった。

 ゲストには俳優の瑳川哲朗さん(79)、横田栄司さん(45)が登場。蜷川さんが指導した若手演劇集団「さいたまネクスト・シアター」の団員らが「リチャード二世」「テンペスト」の一幕を演じた。

 松岡さんは蜷川演出の魅力の一つに、小道具などを巧みに使って観客を異次元に引き込むテクニックを挙げ、「リチャード二世」の戴冠式で蜷川さんが「ここで王冠が飛ばないかな」と提案し、ワイヤで実現したことなどを紹介した。

 横田さんは蜷川さんとの出会いについて、「仲間と作品を見せに行ったら、『いいかげんにしろ、俺の45分を返せ』とぼろくそに叱り飛ばされた」などと笑顔で振り返った。

 終盤、後任芸術監督に就任した吉田さんの会見の様子が映されると、来場者から驚きの声や拍手がわいた。千葉県から来た会社員の山口雅美さん(55)は「初めて知る話も多く、来て良かった。吉田さんは芸術監督にぴったり。シリーズの再開を今から楽しみにしている」と話した。

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 都内の帝国ホテルで行なわれた会見で、吉田さんは「蜷川さんにしかできないシェークスピアを引き継がなければならない。僕の中にも蜷川さんの血が流れているような気がする」と後任を引き受けた覚悟を語った。就任1作目は来年12月、「アテネのタイモン」を演出・主演する予定。

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