東シナ海における日本の海洋権益を、中国が一方的に侵害している。
直ちに抗議するのは当然だとしても、それで事態を食い止めることはできていない。経済制裁を含む実効的な対抗措置を検討すべき段階に入ったといえよう。
10月上旬の写真撮影により、日中中間線付近で中国が設置した16基のガス田開発施設のうち、新たに2基で天然ガス生産を示す炎が確認された。炎が出る施設は12基となった。
日中両国は、平成20年にガス田共同開発で合意している。中国による生産は、この合意を踏みにじるものでしかないのだ。
安倍晋三首相と習近平国家主席は今年9月の首脳会談で、ガス田の共同開発に向け、事務レベル協議を進めることで合意した。
その翌月の背信行為には、開いた口がふさがらない。中国側は二枚舌を弄している。菅義偉官房長官は会見で「極めて遺憾だ」と非難し、外交ルートで開発の中止を求めているが、そうした抗議も中国は馬耳東風ではないか。
自民党の外交関係合同会議で、中国の行動を止める手立てを講ずるよう求める声が相次いだ。政府は年内に開く「高級事務レベル海洋協議」で改めて取り上げる方針というが、具体的な対抗策を持たない協議に期待は持てない。
重要なのは、中国による尖閣諸島の奪取と、ガス田開発および同施設の軍事化を阻むことだ。政府にはその具体的な措置をとる覚悟を持ってもらいたい。