主張

豊洲問題で人事 責任の所在解明に生かせ

 豊洲市場(東京都江東区)の建物下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、小池百合子都知事が都庁の体制刷新に乗り出した。

 岸本良一中央卸売市場長ら担当幹部を更迭し、技術職の局長級ポストを新設する。都の統治(ガバナンス)能力の欠如が明らかになった以上、担当分野のトップの責任を問うのは当然である。

 過去の失政に決別し、大胆な人事刷新を豊洲問題の解決につなげることが求められる。経緯を解明し、責任の所在を明確にすることはもちろん、市場関係者や消費者が抱く「食の安全」への不安を払拭しなくてはならない。

 都議会も豊洲問題を審議するために特別委員会を設置し、議会閉会後も継続して事実解明に当たる方針を決めた。

 都議会は都庁の無責任な姿勢を看過してきたといわれてもやむを得ない。特に、豊洲移転で中心的な役割を果たしてきた最大会派の自民党の責任は重い。自ら襟を正し、移転本来の目的を見据え、建設的な議論をしてもらいたい。

 都がまとめた先の内部調査は、盛り土をせず地下空間にする計画について、部門間での情報共有が不十分なため、段階的に決まっていったと結論づけた。自分たちで責任者を特定する気などない、と言わんばかりだ。

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