健康ブームを牽引(けんいん)してきた特定保健用食品(トクホ)の信頼が揺らいでいる。表示された関与成分を含まない商品が販売されていたとして、消費者庁は先月、初めて許可を取り消し、異例の全品調査に乗り出した。審査時に高いハードルを課す一方、その後の品質管理は業者任せで、消費者団体から「監視の仕組みがないのはおかしい」と批判の声も。健康食品市場が拡大する中、同庁の監督のあり方が問われている。
成分入っていないのに…販売続けて初の取り消し
問題となったのは通販会社「日本サプリメント」(大阪市)の「豆鼓エキス」を含む「食前茶」など2品と、「かつお節オリゴペプチド」を含む「ペプチド茶」など4品だ。
同社は平成13〜17年、トクホの表示許可を受け、前者は「血糖値が気になり始めた方」、後者は「血圧が高めの方」に適しているとして販売。併せて約1500万袋が売れた。
昨年4月までに自社検査で、表示した関与成分が実際には含まれず別成分だったことや、含有量が記載値に満たなかったことが判明したが、先月まで報告を怠り、販売を続けていた。
同社は「原因究明の検査を繰り返し報告が遅れた」というが、同庁は「虚偽表示のまま販売した責任は重い」と判断。3年の制度開始以来初めて、許可を取り消した。