正論

東京五輪後の景気減速など改革ギリギリ 時機逃さず第3の矢を加速せよ 政策研究大学院大学教授・大田弘子

 例えば、配偶者控除は103万円が壁になるかならないかが一番大事なのではない。一人の女性が、フルタイマーから専業主婦になり、パートタイマーになり、場合によっては離婚する。こういう変化に対して税が有利や不利をつくらず、個々人の選択が税によって妨げられないようにすることこそが見直しの趣旨である。

 しかし、「固定から流動へ」の政策転換は、容易ではない。戦後、固定を前提とした枠組みのもとで成長してきたがゆえに、私たちにも変わることへの不安は強い。誰しも、変わらずにすむものなら変わらずにいたい。

 だから、現状のまま守る政策に反対する人はいないが、移動を支える政策には常に反対が強い。転職して不利にならない制度をつくるのはいいとしても、それが現在の強い雇用保障を弱くすることにつながるのではないかと大企業サラリーマンは懸念する。

≪変化に対応できる仕組みを≫

 アベノミクスの最初の頃にキーワードになっていた「失業なき労働移動」ということばは、いつしか聞かれなくなった。「新陳代謝」というキーワードも、なかなか具体的な政策につながらない。これは、こうした政策への抵抗が強いことを物語っている。