正論

東京五輪後の景気減速など改革ギリギリ 時機逃さず第3の矢を加速せよ 政策研究大学院大学教授・大田弘子

 その裏返しとして、転業や廃業を支援する政策は弱く、これが開業率・廃業率をともに低くしている。労働政策も、同じ企業で働き続けることが前提になっており、転職すると税制面でも企業年金でも不利になる。

 戦後の日本型経営は、「長期的取引慣行」ということばで表現されるように、取引先や従業員との関係を固定化することで成長をめざすものだった。しかし、経済の構造は大きく変わった。国内では高齢化が進み、新興国との競争が激しくなり、イノベーションのスピードは劇的に速くなった。

 変化が激しい時代は、状況を固定させることは安定を意味しない。逆に、変化への対応を遅らせ結果的に不安定をつくりだす。

≪求められる「積極的労働政策」≫

 いま必要なのは、弱い産業や企業を弱いまま守る政策ではなく、成長分野に移れるように転換を支援する政策だ。失業しないように現状を維持する政策ではなく、転職しても不利にならない環境をつくり、早期に成長企業に移れるようにして、結果的に転職してよかったという状況にする「積極的労働政策」こそが求められる。

 税制でも、固定した状況を前提とするのではなく、状況が変わっても税が有利と不利をつくりださないことが重要だ。