正論

東京五輪後の景気減速など改革ギリギリ 時機逃さず第3の矢を加速せよ 政策研究大学院大学教授・大田弘子

政策研究大学院大学教授・大田弘子氏
政策研究大学院大学教授・大田弘子氏

 アベノミクス第3の矢(成長戦略)は、ここで一気に加速すべきときを迎えている。構造改革は効果が出るまでに時間がかかる。東京オリンピック後の景気減速が懸念されることや、2022年に団塊世代が後期高齢者とよばれる75歳になり始めることを考えると、いまは改革に着手するギリギリのタイミングである。

≪現状固定が不安定を生み出す≫

 加速のための体制もすでにつくられている。成長力向上のための未来投資会議が設置され、働き方改革実現会議がつくられ、規制改革も新たな会議が始まった。日本経済の大きな課題が生産性向上と、人材を最大限に生かすための労働市場改革であることを考えると、政府がいま取り組もうとしていることの方向は正しい。

 アベノミクス開始からすでに成長戦略が4回つくられ、農協改革や法人税率引き下げなど困難な改革も実行に移された。しかし、それにもかかわらず、第3の矢がいまだ十分に放たれていないようにみえるのはなぜだろうか。

 それは、「固定」を前提とした政策を、「流動」を支える政策へと根本から変える取り組みが抜けているからではないだろうか。

 日本の政策は、現行の状態がそのまま守られるようにサポートするものが多い。生産性が低く将来性が乏しい企業であっても、税制や補助金や規制によって、なるべく現状のままでいられるように守られる。