文部科学省の有識者会議は、施行から3年となる「いじめ防止対策推進法」について、いじめの「重大事態」の定義を明確化し、情報共有による組織的対応を周知することなどの改善策をまとめた素案を公表した。
同法が、いじめ根絶を目指す切り札になり得ていない反省に立ったものといえる。
法制化は、いじめを許さないという国の意思表示だったはずだ。学校などの現場がその趣旨を重く受け止め、覚悟や具体的な行動を伴わなくては、法の効力は発揮されない。
いじめの「重大事態」について同法は(1)心身や財産に深刻な被害が生じた疑いがある(2)相当期間欠席を余儀なくされている疑いがある-と定義した。
しかし、「定義が明確でない」として、重大事態として扱われるべき案件が必ずしも調査対象とされていないなどの指摘があった。素案は、重大事態の具体例を複数示すことで定義を明確化するよう求めている。
担任教諭がいじめの問題を抱え込んで情報が共有されず、重大な結果を招くケースもあり、公立の教職員が対応を怠った場合は懲戒処分となる可能性を周知することも検討課題とした。
また、いじめの認知件数が多いことはマイナス評価になるとの学校側の抵抗感を払拭するため、認知件数が多いことは肯定的に評価されることを教育委員会などに改めて周知することも求めた。