浪速風

大統領に傷がつく

「世界一の権力者を選ぶ選挙が、なぜこれほどまでに低劣きわまりないものになってしまったのだろうか」。有馬哲夫早大教授が「中傷と陰謀 アメリカ大統領選狂騒史」(新潮新書)でこう嘆いたのは12年前である。「テレビ討論にしても、子供の口げんかにしか思えないことも多い」

▶米大統領選の第2回テレビ討論会で、トランプ氏の女性蔑視発言が取り上げられた。「有名人なら女を思うままにできる」とは何たる傲慢。謝罪はしたが、「私の場合は言葉だが、彼(ビル・クリントン元大統領)は行動に及んでおり、ずっと悪質だ」とクリントン氏の夫に矛先を向けた。

▶「大統領選は本来の得点ゲームから、粗探しの減点ゲームに変わってきた」。トランプ氏にはさらに違法ではないものの多額の税額控除が、クリントン氏は公務に私用メールアドレスを使っていたことが問題視され、終盤の中傷合戦はまだ続くだろう。こんな選挙では大統領の尊厳に傷がつく。