徳川慶喜公も愛した静岡市の老舗そば店「安田屋本店」、幕末創業時のつゆ再現

ひしおをだし汁でのばした「駿府江戸蕎麦つゆ」を再現する安田裕さん=11日、静岡市葵区の安田屋本店
ひしおをだし汁でのばした「駿府江戸蕎麦つゆ」を再現する安田裕さん=11日、静岡市葵区の安田屋本店

 最後の将軍・徳川慶喜公も愛した老舗そば店「安田屋本店」(静岡市葵区横内町)は15日から、幕末の創業当時の味を再現したそばつゆ「駿府江戸蕎麦つゆ」を来店客に振る舞う。静岡には明治維新を機に多くの旧幕臣が移住したこともあり、そばも江戸前の味に変化。駿府江戸蕎麦つゆは、しょうゆやみその原型である「ひしお」を使用しており、5代目店主の安田裕さん(65)は「現代のそばにつながる江戸そばとはまた違う、150年前の駿河そばの味を楽しんで」と話している。

 慶応2(1866)年に創業した安田屋本店は、大政奉還後に駿府(現在の静岡市)に移封された徳川家ゆかりの旧幕臣でにぎわい、勝海舟ら幕末の三舟も訪れた。中でも慶喜公は散策や狩猟の帰りに店に立ち寄り、直筆の品書きを残すほどのひいきぶり。関西風だった同店のそばつゆも、客の好みに合わせて次第に江戸前の味に変わっていったという。

 創業当時のそばつゆは、カツオやサバなどの削り節とひしおだけを使ったもので、安田さんによると「みそとしょうゆの中間のようなしょっぱさ」。長野県のみそ問屋が保管していたひしおを仕入れ、代々の口伝に基づいて試行錯誤を重ねて完成させた。そばをつゆにたっぷりと浸すと、塩辛さのあまり食べられないほどだといい、安田さんは「なぜそばをつゆにちょんとつける食べ方が生まれたのか、理由がよく分かります」と苦笑する。

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