主張

白紙の領収書 非常識がまかり通るのか

 「政治とカネ」をめぐる政治家の常識が非常識なことには驚かないと思っていたが、そこまで開き直れるのか、とあきれる問題があった。

 菅義偉官房長官と稲田朋美防衛相が、同僚議員の政治資金パーティーで代金を支払った際に、白紙の領収書を受け取り、自身の事務所関係者が金額を書き込んでいた。

 当日の事務作業が煩雑になる、水増しはしていないなどの釈明が並べられたが、「法律上の問題はない」ので構わないという。

 先週の国会質疑で取り上げられた後、さすがに評判の悪さを気にしたのか、自民党は代金を受け取った議員側が、領収書に必要事項をきちんと書いて渡すよう、通達を出した。

 政党の内規で十分なのか。自民党のみならず、各党は資金の透明化について絶えず取り組む必要がある。

 代金の受領者が支払者に対し、受け取ったことを証明するために発行するのが領収書だ。支払者側が記入したのでは用をなさない。それが世間の常識である。

 「白紙」とみられたものは、菅氏が平成24年から3年間で計270枚、計約1875万円分に上り、稲田氏も同じ期間で計260枚、計520万円分に上った。

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