衆院福岡6区補選 「保守分裂」も2候補は直接批判回避

 衆院福岡6区補欠選挙は11日、いずれも新人の4人が立候補し、23日の投開票に向け、舌戦が始まった。このうち、分裂選挙となった自民党系の2陣営は初日、互いを強く意識しながらも、直接的な批判は避け、あくまで「敵は民進党にあり」と訴えた。(村上智博)

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 立候補したのは、幸福実現党県総務会長の西原忠弘氏(61)▽民進党の元在インド・チェンナイ日本総領事館職員、新井富美子氏(49)▽無所属の前大川市長、鳩山二郎氏(37)▽無所属で自民党福岡県連が支援する参院議員秘書の蔵内謙氏(35)。

 蔵内氏は大票田、久留米市内で出陣式を行った。集まった約1千人の支持者に、麻生太郎副総理兼財務相がこんな音声メッセージを寄せた。

 「あと一歩のところまできた。相手の民進党には、この県南で負けるわけにはいきません」

 蔵内氏は自民党本部の情勢調査で、鳩山氏に大きく水をあけられてきた。本来であれば「相手は鳩山氏」となるはずだ。

 だが、陣営は「今回は政党選挙だ。与党で議席を維持しないといけない。鳩山氏は同じ自民党員であり、敵はあくまで民進党だ」(幹部)と、表立った鳩山氏批判を封印する。

 民進党との対立軸を明確にすることで、自民系候補を強調する戦略といえる。本人も「自民党福岡県連推薦です」と訴える。

 一方、蔵内氏の父、勇夫氏は当選8回のベテラン県議だが、地盤は筑後市で、小選挙区では福岡6区ではなく、7区に含まれる。

 出陣式で自民党の古賀誠元幹事長は「県南には6区も7区もない。一体にするための立派な政治家を育てるべきだ」と述べた。さらに東京出身の鳩山氏を念頭に「ふるさとを蔵内謙君に取り戻してもらいたい」と語った。

 蔵内氏もこの先の選挙戦では「県南に生まれ、育った」ことを前面に出す。

 自民党県議団は蔵内氏を全面支援する。その証しとして、出陣式で原口剣生県議団会長が所属県議43人全員の「血判状」を披露した。党公認は出なかったが、陣営幹部は強気の姿勢を崩さない。

 「県連独自の調査では、鳩山氏との差はそこまで開いていない。投開票日の3日前には鳩山氏と横一線になり、最後は逆転する」と思い描く。

 一方、鳩山氏もこの日、久留米市での出陣式に約1千人を集めた。

 「父は昔から、政治は優しく、ぬくもりがなければダメなんだと教えてくれた。私はその遺志を受け継ぐ」と声を響かせた。

 選挙戦で陣営は、父・邦夫氏の後援会組織を頼りに、「弔い合戦」を強くアピールする。

 さらに鳩山氏は「大川市は保育料が高いと子育て世代に怒られたので下げた。そしたら、空前の出産ブームになった」とぶち上げた。選挙区の地元市長であること、そして政治家として即戦力であることを訴える。

 鳩山家の知名度もあり、事前の情勢調査では他候補をリードする。告示前の10日には、東京都の小池百合子知事が鳩山氏の応援に入った。小池氏は、自身の都知事選の戦いに鳩山氏の選挙戦を重ね合わせて支持を訴え、観衆をわかせた。

 ただ、鳩山陣営は上滑りを警戒する。

 陣営幹部は「勝ち方が重要だ。徹底して勝つんです。特に、保守分裂の合間を縫い、民進党にしてやられるわけにはいかない」と語った。

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