2016年のノーベル経済学賞は米国の経済学者2人が受賞し、日本人で最有力視された米プリンストン大の清滝信宏教授(61)は今年も受賞を逃した。経済学賞は日本人が獲得したことのない唯一のノーベル賞。米国の学界が「主流派」として幅をきかす中、英語力のハンディもあり、日本人は受賞の地歩を築けていないのが実情だ。
ノーベル経済学賞は、市場の役割を重視する米国主流派の系譜を引く学者が相次ぎ受賞している。2010〜16年の受賞者14人中12人が米国の大学教授や名誉教授だ。背景には現代経済学の主流派の多くが、米国の有名大学を拠点に活動していることがある。
このため、ノーベル賞を受賞するには、米国で論文を積極的に発表している▽その論文を世界の研究者が頻繁に引用している▽功績に追随する人が一派をなしている-などの条件が必要とされる。
日本人に関しては「米国の主流派に大きな影響力を持つ研究者は少ない」(内閣府経済社会総合研究所の堀雅博上席主任研究官)。語学力の壁もあって説得力ある論文の執筆や人脈作りが難しく、受賞の条件を満たせないとの見方がある。