不安げだった参加者も、包丁をおろして、断面がきれいに表れると「かわいい!」と歓声を上げた。
古来の太巻きを現代風に楽しくアレンジしたものともいえそうだ。
「かわいい」だけではない?
出来上がったすしは、ハロウィンカボチャそのもの。しかし、「見た目はかわいいけれど、果たして食べてもおいしいのだろうか」と意地悪な考えが頭をよぎる。そこで、出来上がった巻きずしを1ついただくと、酢飯の味にサケフレークの塩気がちょうど良い。キュウリやかまぼこがあることで食感の違いも楽しめた。「デザインはもちろん、食べてもおいしいレシピを考えています」となかむらさん。
講座に参加した、船橋市の主婦、並木直子さん(43)は「自分が作った絵が形になっていくのが楽しい。作品感覚で作れる」と話す。子供が幼稚園に通っていたときには、お弁当にデコ巻きずしを入れていたという。
4年前からデコ巻きずしを作っているという、高木久美子さん(40)は「ホームパーティーで出すと大人も子供も喜びます。差し入れにもちょうど良い」。
コミュニケーションツールの役割も
巻きずしを始め、サンドイッチやケーキなど、切断したときの断面のデザイン性が高い食べ物は、「萌え断」と呼ばれ、画像共有サイト「インスタグラム」を中心に人気を集めている。
萌え断の正確な定義はないが、食べ物を切ったときに表れた断面に対し、ときめいたり、いとおしい気持ちになった場合に使われているようだ。昨年、インスタグラムの投稿者が作った言葉だとされている。