日曜経済講座

中国の劣悪なネット環境 海外企業悩ます速度や検閲 上海支局長・河崎真澄

 9月に中国・杭州市で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合のメディアセンターで、通常の中国国内のインターネット環境では厳しく遮断される動画投稿サイト「ユーチューブ」や交流サイト「フェイスブック」などが、外国人記者に限って自由にアクセスできるよう解除された。G20参加首脳や政府関係者の宿泊先でも、本人認証があれば規制サイトの閲覧ができた。

 G20でのおもてなしとされた一時的な措置だが、実は伏線があった。米通商代表部(USTR)が今年3月に発表した「外国の貿易障壁に関する年次報告書」で、中国当局によるネット検閲強化で外国企業は深刻な障害を受けていると厳しく批判したからだ。これに対し中国当局は「情報セキュリティーを守ることが利用者の信頼性を高め、外国企業に公平な市場環境を作っている」などと強弁し、火種になっていた。

 G20の場でこの問題が再燃しないよう、ネット規制への批判もかわす狙いで、特定の相手だけに解除したものとみられる。もちろん、USTRが危惧した「外国企業が受ける深刻な障害」に何ら好転の兆しはない。

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