熊本・阿蘇山爆発的噴火 地震復興のさなか再び警戒態勢

熊本県災害警戒本部は、引き続き警戒態勢を取ることを確認した=8日午前、熊本県庁(谷田智恒撮影)
熊本県災害警戒本部は、引き続き警戒態勢を取ることを確認した=8日午前、熊本県庁(谷田智恒撮影)

 4月に起きた熊本地震の被災地が復興に力を入れていたところ、阿蘇山で8日、爆発的噴火が発生した。九州は台風も相次いで襲来するなど、このところ自然災害に見舞われることが多い。そんな自然と向き合うには何よりも日ごろからの十分な備えが肝要だ。

 熊本県は阿蘇山の噴火を受け、8日午前10時、県庁で「災害警戒本部会議」を開いた。

 熊本地方気象台の担当者が、「広範囲に噴石が飛んだようです。今は白い噴煙になったが、今後も同規模の噴火が起き、降灰の可能性も十分あります」と報告した。会議室の空気は一気に張り詰めた。

 一連の熊本地震は半年前に起きたばかりだ。いまなお余震が続く。集まった約40人の県幹部は「今度は阿蘇山か…」と身構えた。

 この先も警戒態勢に手抜かりがあってはならないと、入念に対処方法を確認しあった。

 本田圭危機管理監は「人的被害こそなかったが、36年ぶりの爆発的噴火だ。県民への注意喚起を強化してほしい」と指示を出し、被害の情報収集を急いだ。

 ◆九州が揺れた

 九州は、火山大国・日本の中でも特に火山が多い。気象庁によると、国内110カ所の活火山の15%にあたる17の活火山がある。阿蘇山はその代表格だ。24時間態勢での観測対象になっている。

 そこで突然、起きた大噴火に九州は揺れた。果たして、熊本地震と関係があるのか。専門家らは冷静に分析を進める。

 京都大防災研究所の井口正人教授(火山物理学)は「阿蘇山は桜島とは異なり、火口から集落までの距離がある。噴火警戒レベルを、周辺住民に避難準備を呼びかけるレベル4にまで引き上げる必要があるなら有史以来の規模になるが、現時点ではそのようなことは考えにくい」と語った。

 また、阿蘇火山博物館学術顧問の須藤靖明氏も「熊本地震の影響はなく、阿蘇山独自の活動だろう。今後、噴火があっても今回よりは小さいという感じだ。爆発後に火山性微動の振幅もかなり小さくなった。だが、少なくとも1カ月以上は活動が続くはずだ」と分析した。

 ◆段取り八分

 やはり当面は、警戒を怠るわけにはいかない。万一、自然災害が起きてからできることは限られるため、命を守るための備えがなにより大切になる。

 「段取り八分」という言葉もある。地震に台風に噴火に…と自然災害に見舞われがちな九州ではなおさらだ。

 防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏も「悲観的に準備し、楽観的に生活する姿勢が欠かせない。それが防災だ」と指摘する。

 古来、わが国では自然災害が多発し、どこにいても確実に安全な場所はないといっても等しい。

 そんな中、九州の人々は火山と共生し、噴火に備えて日ごろから地域ぐるみで防災力を高めてきた。

 山村氏はいう。

 「わが国は、地域の助け合いや国の支援で災害を乗り切ってきた。そのための準備を各地域でも考えておけば、なにも不安に感じることはない。備えあれば憂いなしです」

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