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『アマゾンと物流大戦争』角井亮一著 勝敗分けるロジスティクス

『アマゾンと物流大戦争』
『アマゾンと物流大戦争』

インターネット通販で世界最大手のアマゾン。いまやネット書店というかつての位置づけをはるかに超えて、家電から食品、果ては法事法要に僧侶を手配する「お坊さん便」まで、あらゆる商品を販売する巨大企業に成長している。

そのアマゾンの本質は、書店でも家電店でもなく「ロジスティクス(ロジ)」にあると物流コンサルタントの著者が看破するのが本書。ロジの原義は軍隊の後方支援活動全般を指す「兵站(へいたん)」であり、転じて必要な物を必要なときに必要な場所に円滑に届ける物流網とその運用ノウハウを指す。

長期間の莫大(ばくだい)な投資で極度に磨き上げられたアマゾンのロジ戦略やビジネス拡大の仕組みを分かりやすく解説し、同社が米国で繰り広げる小売り最大手ウォルマートとの激しい競争や、日本では旧来のモール型ネット通販を相手に優勢な戦いを進めている現状をリポート。また、アマゾンを迎え撃つ国内家電量販店が高度なロジ整備を行っている様子を紹介していく。

NHK出版によると、9月8日に初版1万1000部でスタートし、すでに2000部の増刷が決まった。ちなみに、顕著に売れているのは物流拠点が集中する東京・浜松町の書店だとか。納得。(NHK出版新書・740円+税)

磨井慎吾

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