【ワシントン=青木伸行】オバマ米大統領は7日、1997年以来、約19年間にわたる対ミャンマー制裁法の枠組みを解除する大統領令に署名した。これにより制裁は実質的に全面解除された。
大統領は議会へ送った通知の中で「民主化の重要な進展により、ミャンマー情勢は大きく変化した」と理由を説明した。
財務省によると、米国の企業、個人との取引が禁止されてきた111の個人・団体が、制裁対象から除外され、マネーロンダリング(資金洗浄)への関与の懸念があるとして、ミャンマーの銀行に科されていた制裁も停止される。天然資源の翡翠(ひすい)とルビーの輸入も解禁となる。ただ、軍と軍関係者への支援や取引への規制は残される。
米政府は97年、当時の軍事政権が現国家顧問兼外相のアウン・サン・スー・チー氏を軟禁し、人権抑圧と少数民族への弾圧を続けていたことから、経済制裁を発動した。その後、オバマ政権は2011年の民政移管を受け、段階的に制裁を緩和してきた。
今回の措置にはミャンマー経済と両国関係をさらに強化し、スー・チー氏らを後押しする狙いがある。