大隅良典さんは3日、産経新聞の取材に応じ、受賞への思いを語った。一問一答は次の通り。
--受賞を聞いた瞬間は
「私の性格でもあるが、あまり『やったー』という気分ではなかった。こういう賞は授賞式に行けばよいという単純なものではなく、精神的なプレッシャーがある。これで今年は国際的な賞は4つになる。ありがたいことだが、こんなに集中すると思わなかった。ついに来てしまった、というのが正しいかもしれない。ワイフ(妻)には『そういうことは口が裂けても言うな』と言われているが」
--今回の受賞の意義は
「オートファジーが認知されるきっかけになった。この現象が生物学の中で認められたのは、とても大きなこと」
--基礎科学が対象となった
「最大限、日本の科学にとってありがたいことだと本当に心から思っている。若者には、基礎科学がノーベル賞のようなものにつながると分かってもらい、元気になってほしい」
--日本人が3年連続で受賞した。日本の科学水準をどうみるか
「とても水準が高い。ただ、ノーベル賞に関して言うと、今は過去の遺産を食いつぶしている。今後、若い人が毎年のようにもらえるかどうかについては大変、懸念している。長期的な展望で仕事をすることが難しくなっている。それだけは何とかしたいと思っている」