【ニューヨーク=上塚真由】国連総会第1委員会(軍縮)は3日、ニューヨークの国連本部で軍縮問題の討議を始めた。オーストリアなど非核保有国6カ国が先月末、核兵器禁止条約の交渉を2017年に開始するとした決議案を提出しており、採択されるかどうかが最大の焦点。初日から禁止条約の推進国と、決議案に反対する核保有国との対立が鮮明となった。
同決議案はほかにブラジル、メキシコ、南アフリカ、ナイジェリア、アイルランドが共同で提案。決議案は、あらゆる核兵器の使用は人道的に破滅的な結末をもたらすと指摘。「核兵器なき世界」に向け17年に国連の会議を開き、核廃絶を目標に核禁止を定めた法的拘束力のある文書制定交渉に入るよう求めている。採決は24日以降の見通し。
オーストリアなどの共同提案国は、過半数の国・地域の賛同を得られているとして採択に自信をみせるが、米英仏露中の核保有五大国は、非核保有国が主導する決議案に「非現実的」と強く反対し、賛成派の切り崩しに余念がない。仮に決議案が採択されても、実効性のある条約が制定されるかは疑問視されている。
3日には各国代表による一般討論が行われ、メキシコのゴメス国連大使が「1万5千発の核兵器を少数の国が保有している」と米露などを牽制(けんせい)。条約交渉開始に「重点的に取り組む」と述べ、決議採択への意欲を示した。