国民の自衛官横顔(6)

陸自富士教導団特科教導隊(静岡) 山崎隼人3等陸曹(24)・山崎侑子3等陸曹(23) 沖に流された親子、夫婦で救助

【国民の自衛官横顔(6)】陸自富士教導団特科教導隊(静岡) 山崎隼人3等陸曹(24)・山崎侑子3等陸曹(23) 沖に流された親子、夫婦で救助
【国民の自衛官横顔(6)】陸自富士教導団特科教導隊(静岡) 山崎隼人3等陸曹(24)・山崎侑子3等陸曹(23) 沖に流された親子、夫婦で救助
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 昨年8月31日、休暇を利用して訪れた静岡県下田市の多々戸浜で、山崎隼人3等陸曹と妻の山崎侑子3等陸曹はサーフィンやボディーボードを楽しんでいた。午前10時ごろ、浜辺に響いたのは「助けて」という叫び声。侑子3等陸曹が振り返ると、沖合で流されている母と娘を発見した。

 ボディーボードを携え、一目散に海に飛び込んだ侑子3等陸曹。近くまでたどり着いたが、親子2人はパニック状態となり、侑子3等陸曹の体にしがみついて「怖い、怖い」と恐怖に震えていた。まもなく隼人3等陸曹も駆けつけ、親子に「大丈夫ですよ」と声を掛けて落ち着かせながら、冷静にボディーボードをつかませた。

 目の当たりにしたのは、子を思う母の強さだった。母親は先に救助され、岸に到着した際も「怖い怖い」と腰を抜かしていたが、娘がまだ海にいると知るやいなや、迷わず海へ飛び込んだ。侑子3等陸曹はその姿が今も目に焼き付いている。

 今年6月、夫婦の間に新しい命が誕生した。「謙虚な人になりますように」との思いを込めて、隼人3等陸曹が「穂乃佳」と命名。娘をあやす2人はとても幸せそうだ。救助のときには驚いた母親の行動も、子供を持つ今となっては「自分が溺れると分かっていても同じ行動をとると思う」と理解できる。

 「人として当たり前の行動でも感謝されるのはうれしい」と隼人3等陸曹。育児休暇中の侑子3等陸曹を支えながら仕事に励んでいる。(吉沢智美、写真も)

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