浪速風

早めの避難が命を守る

8月末の台風10号による大雨で、岩手県岩泉町の高齢者施設の9人が犠牲になった反省から、「避難準備情報」の名称変更が検討されている。「準備」の2文字が入るとあまり切迫感がない。さらに危険度によって「避難勧告」「避難指示」が出るが、この違いもわかりにくい。

▶再度、「人はなぜ逃げおくれるのか」(集英社新書)を引く。災害心理学の広瀬弘忠さんは「(現代人は)ある範囲までの異常は、異常だとは感じずに、正常の範囲内のものとして処理するようになっている」という。だから「身の危険を実感できない限り、人は逃げない」のだ。

▶さらに災害や事故に巻き込まれると、人々はパニックに陥ると信じられているが、パニックはめったに起きない。安心感を与えようとすると、かえって惨事を招いてしまう。「私たちの災害観は、かなり古めかしいのである」。災害そのものも、数十年に一度の大雨が珍しくなくなった。台風18号が接近している。