米大リーグ、マーリンズのイチロー外野手(42)にとって、身近な後輩が急死したことは痛恨の極みだった。心の中ではとても平静ではいられなかったが、努めていつもと変わらないイチロー流の振る舞いで悲しみを表した。
将来を期待されたマーリンズのエース右腕、ホセ・フェルナンデス投手が、9月25日にフロリダ州マイアミ沖のボート事故で24歳の若さで亡くなった。マーリンズは悲しみに包まれ、事故当日の試合を中止、再開した26日のメッツ戦前には本拠地のマーリンズパークで追悼セレモニーを行った。イチロー以下、ナインは全員フェルナンデス投手がつけていた背番号「16」を背負い、手向けの勝利を目指してグラウンドに立った。
全国紙「USA TODAY」はその模様をこう伝えた。「マーリンズはフェルナンデス投手の死をこれから先長く悲しむであろう。だが、一夜の栄光を彼に与えた」
主砲のスタントンは「我々はホセ、彼のファン、そいて一緒に戦ってきたみんなのためにここ(スタジアム)にいる」(スポーツ専門局ESPN)と涙ながらに語ったという。
悲しみにうちひしがれながらもイチローはあえて「普段通り」の行動をした。大リーグに来て以来、いつもと同じようにスタジアムに入り、着替えてウオーミングアップを行い、試合に臨んだ。
姿こそないものの、スタジアムを見守っているはずのフェルナンデス投手を思い、「きっと僕がいつもやっていることを変えてほしくないと思った。だからいつものように準備した。普通通りにやることが、彼が望むことだと信じていた」とイチロー。