船舶向け気象情報・潮岬「灯台放送」61年の歴史に幕

 全国29カ所の灯台などから発信してきたラジオ放送「船舶気象通報」が30日、放送を終了した。県内唯一の無線局がある串本町潮岬の潮岬灯台では61年間、熊野灘の風向や風速など気象情報を船舶関係者に向けて発信してきた。田辺海上保安部の担当者も「船乗りたちの安心安心に貢献してきた放送だった」と、「灯台放送」と呼ばれて親しまれてきた放送の終了を惜しんだ。

 海上保安庁によると、放送は昭和24年から始まり、潮岬灯台では同29年にスタート。西は沖縄の宮古島から東は北海道の釧路までの観測地点で得られた風向や波高などの情報を、1時間ごとに決まった順番で放送してきた。潮岬灯台は7番目だった。

 「遠く離れた海に思いをはせることができる」と、全国のアマチュア無線愛好家らからも人気を呼んだという。

 しかし、同保安庁は平成14年から、約130カ所の観測地点の情報をインターネットで「海の安全情報」として提供。航行中にいつでもスマートフォンなどで確認できるサービスの利用者が増え、ラジオ放送の需要が減少した。また、昨年1〜2月に船舶関係者約14万人を対象にしたアンケートでは、「放送がないと困る」と答えたのは約2%にとどまったという。

 潮岬灯台ではこれまで、田辺海上保安部の交通課が灯台放送のためのラジオ電波を飛ばす無線機や観測機器の管理などを担当。この日は正午の最後の放送終了後、長年稼働してきた無線機の電源を落とした。

 同保安部交通課の大嶽範恭課長(48)は「放送が無くなるのは寂しいが、潮岬灯台での観測は続く。今後はネットの情報が、船舶関係者の海の安心安全を守る助けになってくれれば」と話した。

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