こうした中、ヒラメやマアナゴの出荷制限が今年6月に解除され、今月から試験操業が始まった。ヒラメは常磐もののシンボルのような存在だけに漁業者の期待は大きい。
「浜の母ちゃん」奮闘
安全性をアピールしようと同県は今月21日、ヒラメが水揚げされる卸売市場などを報道陣に公開。あいにく台風の影響で船は出なかったが、浜の母ちゃんと呼ばれる相馬双葉漁協女性部のスタッフによる自慢の料理が振る舞われた。メニューは、カレイの煮付けやコウナゴのつくだ煮など地元の料理。同部相馬支部長の佐藤靖子さん(64)は「試験操業が始まり、夫も生き返った。一日も早く本格操業となってほしい」と話す。
佐藤さんらは本格操業に備え、新たな加工食品の開発も行う。8月のセミナーでは開発中の「イカメンチ」を披露。みじん切りにしたイカとタマネギを練って具を作り、パン粉をまぶして揚げた料理だ。佐藤さんは「イカやタコは年中取れるが小さいものは売れない。そうしたものを活用し、少しでも浜を潤したい」。
福島県沖で漁を中止していた間、ヒラメの水揚げが急増したのは隣接する宮城県沖。農林水産省によると、宮城県沖のヒラメの水揚げ量は原発事故前の22年は344トンで、福島県沖の734トンより少なかったが、昨年は約1600トンと約5倍に増え、全国一だった。