宇土市役所の解体工事、重機燃料に廃食油活用 熊本

 熊本地震で崩壊寸前となった熊本県宇土市役所の解体工事で、重機の燃料に、市民から集めた使用済み食用油(廃食油)を精製したバイオディーゼル燃料(BDF)を活用することになった。同市と燃料精製販売業「自然と未来」(熊本市西区)、解体工事を請け負う西松建設が協定を結んだ。環境に配慮し、市民参加型の復興事例として注目を集めそうだ。(谷田智恒)

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 今月21日、宇土市仮庁舎で、元松茂樹市長と、「自然と未来」の星子文社長、西松建設九州支社の宮崎文秀支社長が出席し、締結式が行われた。

 協定によると、市が廃食油を市民から回収し、それを「自然と未来」がBDFに精製する。西松建設がBDFを使用する重機の燃料とする。

 元松氏は「市役所本庁舎は約50年間、市のシンボルだった。解体工事に、市民が参画する機会を提供し、新たな一歩を踏み出したい」と述べた。

 BDFは、軽油同様に有害物質の含有量が少なく、酸性雨の原因となる硫黄酸化物(SOx)もほとんど排出しない。自然と未来は3年前から、熊本市内のスーパーなど10カ所で、廃食油を回収する「油田プロジェクト」を進めている。

 宇土市も平成24年度から、市役所と2支所に廃食油回収ボックスを設置、年間約2トンを回収していた。

 自然と未来によると、回収した廃食油の8割にあたるBDFを精製できるという。同社の福田千春氏(33)は「植物由来の環境に優しいBDFを知ってもらうきっかけになればよい。廃食油の再利用でゴミ減量化にも貢献したい」と意欲を燃やす。宇土市役所は鉄筋コンクリート5階建ての建物だったが、4月16日の「本震」で4、5階部分が押しつぶされるなど激しく損壊した。

 倒壊の恐れがあることから、8月中旬に解体工事が始まった。庁舎内に残された書類をキャビンごと、磁石の付いた大型クレーンなどで取り出しながら作業を進め、4、5階部分は撤去が完了した。

 3階以下の備品を搬出した上で、来年3月まで工事を続ける。

 宇土市環境交通課主事の石井孝氏(24)は「市民に廃食油を提供してもらうことを通じて、震災復興に向けた意識付けも図りたい。資源循環の取り組みを広げられるよう普及啓発にも力を入れる」と述べた。

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