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主要国で唯一シェア増の日本にガラパゴス規格で勝負挑むが…アップルの「不平等取引」に総務省&公取委は虎視眈々

 最大の逆風が、総務省などが問題視しているアイフォーンの販売方法の是正指導だ。アップルが市場優位性を武器に携帯3社と交わしている契約が「極論すれば、不平等条約」(同省総合通信基盤局)だという。

 携帯3社のなかで最初にアイフォーンを販売したソフトバンクはスマホの半分以上、ドコモも「スマホ販売の4割が条件」(同社幹部)とされており、携帯各社にも不満の声はくすぶっている。

販売方法までアップルが指図

 ドコモやKDDIからは「いち早く売りたいがためにソフトバンクがアップルの条件を丸飲みした」との恨み節も聞かれるが、今や3社ともアイフォーン人気にすがる気持ちは同じで、アップルの不条理な条件を飲むしかない状況が続いている。携帯電話市場が飽和状態となり、3社がシェアを食い合う状態の中、ロシアの携帯会社のようにアップルの条件を飲まずにアイフォーン販売を取りやめるわけにもいかないのが実情だからだ。しかし、当局はアップルが販売台数の締め付けに加え、販売方法などでも常軌を逸した圧力をかけていることに厳しい視線を向けている。

 携帯電話会社幹部は説明する。ある携帯電話会社では、アップルの販売ノルマを達成できなかった場合、一定額を支払う契約になっているという。他メーカーのスマホ、つまりアンドロイド端末よりも安い価格でアイフォーンを売らなければならない条件も飲まされている。

 3社それぞれ契約条件は異なるが、アイフォーンを大量に売りさばくために登場したのが競争環境をゆがめる「実質0円販売」だ。

 アイフォーンを実質0円で売るために各社が積み増す販売奨励金は1台当たり2万~5万円で、キャッシュバック競争が熾烈(しれつ)な時期は総額10万円を超える過熱ぶりだった。販売奨励金の原資となる通信料の高止まりを総務省は特に問題視し、元凶となる実質0円販売の中止を今春、携帯3社に行政指導した。

 アップルはさらに、下取りした中古アイフォーンの国内流通を禁止したり、販売店でも他社スマホより目立つ位置でのディスプレーを取引条件に付け加えたりとやりたい放題。これには公取委も重い腰を上げた。

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