産経抄

独身男性7割「交際相手なし」…コンビニの増加との関係は? 9月25日

 古歌の時代に「今すぐ行きます」という恋人の約束ほど当てにならないものはなかった。〈今来(こ)むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出(い)でつるかな〉。待つ身には、明け方の空に懸かる月が恨めしかったろう。

 ▼歌に詠まれたのは一夜の情景ではなく、季節をまたいで待ち続けた女性の姿との説もある。さえざえと光る月は、2人の仲を裂く冷酷な刃物だろう。「遅れます」「きょうはキャンセル」とメール一本で割り切れる当節では考えられない、情念の青白い炎が見える。

 ▼こんな男女の歌も遠い昔、コンビニの電飾が月光を脇に押しやる時代となった。台所に立たずとも、電子レンジのボタン一つで胃袋を満たす料理が商品棚に並ぶ。夜長を埋める晩酌の友もある。コンビニと独身者の増加には密接な相関があると聞く。むべなるかな。

 ▼独身者のうち男性の7割、女性の6割に交際相手がいないとは、国立社会保障・人口問題研究所の調査結果である。「好き」も「嫌い」も結論に至る道が舗装され、独り身でも困らない。何事も手軽になった時代相が「相手はそのうちに」と先送りさせていないか。