タマネギ生産量全国2位の佐賀、「べと病」で記録的不作

スーパーに並ぶタマネギ。価格は例年より2割程度は高い状態が続く
スーパーに並ぶタマネギ。価格は例年より2割程度は高い状態が続く

 タマネギの生産全国2位の佐賀県で今年、成長を阻害する「べと病」が広がり、記録的不作に陥った。県やJAさがは、病気の再来を回避しようと、べと病の解明を急ぎ、予防重視の対策を取る。代表的産地の同県白石町では9月中旬、来年産のタマネギの種まきが始まった。 (九州総局 村上智博)

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 佐賀県産タマネギは、煮物など火を通すと溶けやすく、とろけるような食感が最大の特徴だ。

 県内約3千戸がタマネギを生産する。特に有明海近くの白石町で盛んだ。ミネラル豊富な土地を使い、半世紀ほどの歴史がある。

 農林水産省や佐賀県によると、平成27年の佐賀県生産量は11万8800トンで、北海道(81万2200トン)に次ぎ、全国2番目だった。佐賀県生産量のうち6割を白石町が占める。

 だが、28年産は散々だった。大敵の「べと病」が蔓延(まんえん)し、生産量が約7万トンにまで落ち込む見通しとなった。

 佐賀のタマネギは、秋に育苗用のほ場に種をまく。11月ごろに、稲刈りを終えた田んぼにほ場から苗を植え替え、翌年3〜5月に収穫する。

 今年3〜4月、県が実施した調査で、べと病の大規模発生が確認された。べと病にかかると、植物の葉は黄色に変色し、生育不良に陥る。食べても人体に影響はない。

 佐賀県は4月5日、農家に警報を発令したが、被害拡大は防げなかった。べと病には治療剤があるが、原因菌に耐性がつき、効きにくくなっていた。さらに日照不足や4月下旬の大雨などの天候不順が、追い打ちをかけた。

 佐賀県は来年産以降を見据え、予防の取り組みを始めた。

 8月にJAや白石町と対策会議を発足した。そこでは、土壌環境の改善に乗り出すことを決めた。

 畑をこれまで以上によく耕すと、土の粒が小さくなり、根の張り具合がよくなる。水はけもよくなり、丈夫で病気に強いタマネギが育つ。

 また、タマネギを植え替える11月と、出荷前の来年2〜4月の計2回、べと病の予防剤を散布することを決めた。県は、薬剤の購入費用の半額を、農協などを通じて補助する。農家の負担軽減を図る。

 べと病の解明も急ぐ。

 県は昨年、農業試験場で実験を始めた。べと病の菌糸を植え込んだ畑に、一定期間水を張って、タマネギへの影響を調べている。

 この結果、50日間水を張ったケースでは畑に植えたタマネギの30%が、べと病にかかった。ところが100日間張った場合は、被害は確認されなかった。

 今年6月から、白石町の実際の畑(4千平方メートル)を使い、同様の実験を進めている。こうした研究を、タマネギの産地である兵庫県と共同で進める計画もあるという。

 佐賀県園芸課副課長の南隆徳氏は「予防策を通じて、来年こそは生産量を回復させたい。それがタマネギ一大生産地としての責任だ。病害には負けません」と語った。

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 佐賀県の不作に加え、北海道の天候不順の影響で、タマネギの価格は夏頃から上昇した。

 品薄となったことで、福岡・天神のスーパーでは9月上旬、段ボール1箱(20キロ)の仕入れ値が通常3千円から7千円に跳ね上がった。店員は「販売価格も2、3割は高い。台風被害でこの先、北海道産も品薄で、心配だ」とこぼした。

 さらに日本一の産地である北海道では、台風10号による一連の水害で、北見市など道東の畑が大きな被害を受けた。

 青果卸地場大手の福岡大同青果(福岡市博多区)の担当者は「当面の必要量については他県産で確保できるが、鉄道網の寸断など物流への影響が今後、大きな問題になるだろう」と指摘した。

 北海道では、集荷したタマネギを専用の貨物列車で運んでいる。台風で一部区間が不通となり、復旧のめどがたっていない。JR貨物は、トラックで代替輸送を続けている。