日銀が3年半に及ぶ大規模な金融緩和を総括的に検証し、政策を強化するための新たな枠組みを決めた。最大の特徴は、長期金利と短期金利を誘導目標とし、従来の「量」から「金利」へ重点を移すことにあるといえよう。
異次元と呼ばれた緩和は、思い通りの効果を上げないまま長期化し、緩和余地の縮小や副作用が取り沙汰されていた。懸念を拭い、政策の信頼を保つ上で、今回、検証を行った意味はけっして小さくないだろう。
問われるのは、これを踏まえて金利重視の下での政策効果をいかに高めていくかである。
≪副作用に目配り怠るな≫
黒田東彦総裁は会見で、新たな枠組みにより「政策の持続性が高まる」と述べた。景気回復に裏付けられた物価の上昇により、脱デフレを確実に果たす。その政策を継続しつつ、実効性を高める転換点としなければならない。
同時に認識しておくべきことは日銀頼みの限界である。むろん金融政策はアベノミクスの重要な柱ではあるが、それだけでは経済の好循環を果たせない。
政府の構造改革や成長戦略、財政政策などもこの際、併せて検証すべきではないか。それでこそ、政府・日銀一体での取り組みも加速できよう。
日銀は、物価上昇率が安定的に2%を超えるまで緩和を続けると宣言した。ここで緩和姿勢が揺らげば、20年の長期デフレに舞い戻りかねない。断固たる姿勢を示し、物価上昇への期待感を高めようとする姿勢は妥当だ。
マイナス金利政策を維持し、必要に応じてこれを深掘りする考えも示した。国債を買い入れて資金供給量を増やす政策は限界に近づくとの指摘もあったが、マイナス金利政策を緩和手段の主軸としつつ長期戦に臨む判断を示した。