主張

リオパラ閉幕 東京目指し競技力向上を

 障害を超克し、高いレベルでメダルを争う雄姿に、多くの人が心を打たれたのではないか。

 閉幕したリオデジャネイロ・パラリンピックでは200以上の世界新記録が生まれ、障害を持つアスリートに社会が払う敬意はより高まった。今大会の最大の果実と言っていい。

 トップ選手の活躍は、スポーツを通じた障害者の社会参加を促す刺激になる。都市機能のバリアフリー化や、障害者への偏見をなくす「心のバリアフリー」で社会を変える契機にもなる。だからこそ、金メダル獲得に向けた選手強化を惜しんではならない。

 銀10個、銅14個を獲得した日本勢の健闘は立派だが、史上初めて金メダルを逃した結果は2020年東京大会のホスト国として、極めて残念だ。金10個の目標を掲げた日本パラリンピック委員会(JPC)や各競技団体の強化担当者は猛省してほしい。

 04年アテネ大会の金17個をピークに日本勢は退潮が目立つ。背景には、国などの支援の遅れがある。文部科学省によると、全国のスポーツ施設約22万カ所のうち、障害者が専用または優先的に使えるのは114施設しかない。

 その約8割は1990年までに造られており、この四半世紀で大きな進展がない。五輪競技とパラ競技が共用できる「第2ナショナルトレーニングセンター」の完成は2019年度になる。

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