21日の東京債券市場では、住宅ローンや企業向け融資の目安で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが急上昇(価格は急落)し、マイナス圏を脱して一時プラス0・005%をつけた。長期金利がプラスとなったのは3月11日以来約半年ぶり。
日銀が21日の金融政策決定会合で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決め、長期金利がゼロ%程度で推移するよう国債を買い入れるとしたのを受け、売りが先行した。前日終値はマイナス0・060%だった。
長期金利は、日銀が1月29日にマイナス金利政策の導入を決めたのを契機に急低下。2月9日に初のマイナスとなり、7月8日には一時マイナス0・300%をつけた。だが、日銀による異次元の金融緩和策の「総括的な検証」に向けた思惑を背景にマイナス幅を縮小傾向にあり、今月に入ってたびたびマイナス0・010%をつけてプラス圏浮上が目前になっていた。
2年債や5年債といった中期債、20年債や40年債といった超長期債の利回りも軒並み上昇している。
一方、東京株式市場では日経平均株価が反発し、前日比の上げ幅は一時200円を超えた。金融政策の枠組みを変更すると決めたことで、長めの金利と短めの金利の差が広がり、金融機関の収益悪化懸念が薄らぐとの見方か台頭。銀行株や保険株といった金融関連が大幅に上昇している。
対ドル円相場は決定会合終了前の101円台後半から午後2時ごろは102円台後半へと円安が進んだ。