後任と目されるミルジヨエフ氏にはカリモフ氏のようなカリスマ性はない。また、ウズベキスタンの国家制度において、首相は主に経済を担当し、軍、秘密警察などの管轄は大統領に属している。従って、ミルジヨエフ氏が軍と秘密警察を掌握できない可能性がある。その場合、ウズベキスタンが、タジキスタンやキルギスのような破綻国家にはならないとしても、国家の一部領域を実効支配できなくなる可能性が十分にある。
特に危険なのがウズベキスタン南東部のフェルガナ盆地だ。この盆地は、ウズベキスタンとキルギス、タジキスタンに分割されている。この盆地のタジキスタン、キルギスの領域は中央政府の統治が及んでおらず、過激派組織「イスラム国」(IS)やアフガニスタンのタリバンに共感する過激派が拠点を作っている。ウズベキスタンの内政が混乱するとシリアとイラクで守勢に立たされているISがフェルガナ盆地に移動し、「第二イスラム国」を建設する危険がある。「第二イスラム国」が、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンのみならず、アフガニスタン、中国の新疆ウイグル自治区にも浸透していく可能性も排除されない。