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福島発 原発事故後の拠点「コミュタン福島」

 ■疑問払拭し未来を創造

 東京電力福島第1原発事故後の福島県の環境回復・創造を担う「環境創造センター」が本格的に動き出した。空間線量のモニタリングや除染、廃棄物、環境創造などを研究する一方、「教育・研修・交流」にも力を入れる。その拠点が「交流棟」(愛称・コミュタン福島)だ。オープン1カ月半で約1万4千人が来館。放射線や環境問題の疑問や不安などを解消して、福島の未来を考えるきっかけを生む施設として、期待と注目を集めている。(竹中岳彦)

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 ◆回復の1ランク上に

 環境創造センターは、東日本大震災と原発事故後の平成24年10月、基本構想が策定され、整備が進められた。「原発事故への対応は、世界の英知を集結する必要がある」(佐藤弘美副所長)ことから、国際原子力機関(IAEA)や日本原子力研究開発機構、国立環境研究所と協力関係を持ち、約50に上るテーマの研究に取り組んでいる。

 佐藤副所長は「回復とは元通りにすること。センターは、さらに1ランク上の環境社会を目指しています。誇れるもの、素晴らしいものを創り出すこと。これが『創造』です」と施設の意義を説明する。

 同センターは、環境創造には「発信」と「共創」が大切と考え、特に子供たちに「学ぶきっかけ」を提供する展示施設を併設している。これが他の研究機関と大きく違う点だ。しかも、小学5年生でも理解ができる分かりやすさを追求している。

 「コミュタン福島」と呼ばれる展示施設は、5つのゾーンで構成。最初は「ふくしまの3・11から」。原発事故から環境回復・創造に向けた福島の歩みを伝える映像資料や、震災発生時を起算点として、どれだけ時を刻んだかを示す「3・11クロック」などが展示されている。

 ◆4テーマで放射線学ぶ

 また、「知る」「測る」「身を守る」「除く」の4つをテーマにした「放射線ラボ」は、いろいろな体験を通して放射線の知識を学べるコーナーだ。実際にガイガーカウンターを使ったり、「霧箱」という特殊な装置で自然界の放射線を見たりすることができる。

 絶え間なく空間を飛び交う放射線に「『(原発事故があった)福島だから、こんなに放射線が多いのですか』と、よく質問されます。『東京や大阪、世界の都市でも、これと同じくらい放射線が飛んでいるんですよ』というと、結構驚かれます」(案内スタッフ)。

 福島県の環境の現状や再生可能エネルギーに関する展示もある。佐藤副所長は「子供たちが楽しんで学べるよう、タブレットやタッチパネルを多用しました。皆さん、喜んで使っています」と話す。

 さらに、直径約13メートル(地球の直径の100万分の1)の球形シアターも設置。一度に大人60人が「放射線の話」や福島の自然など迫力ある映像を体感することができる人気のコーナーという。

 同センターは今年度、県内の全ての小学5年生(約1万8千人)の来館を計画している。

 「県内はもちろん、県外からも多くの人に来てもらいたい。実際に見て、知って、正確な情報に接して、『何ができるか』などを、子供たち自身で判断できるようになってほしい」と佐藤副所長。この願いに向け、同センターの長いチャレンジが始まった。

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 ■福島県環境創造センター(交流棟)

 所在地=福島県三春町深作10の2、(電)0247・61・5721▽開館時間=午前9時〜午後5時▽入館料=無料▽休館日=毎週月曜日(月曜が祝日の時は翌平日)▽アクセス=車の場合 常磐道船引三春インターチェンジから約5分。電車の場合 JR三春駅から車で約12分(要田駅からは車で約7分)。シャトルバス 土曜、日曜、祝日は、JR郡山駅からシャトルバス(1日4往復)を運行▽URL=http://www.com-fukushima.jp/

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