主張

高速増殖炉 「シンもんじゅ」を目指せ 核燃サイクルは国の生命線だ

 エネルギー資源に乏しい日本にとって、燃やした以上のプルトニウムを生み出す高速増殖炉は「夢の原子炉」とされ、そのための燃料生産に関わる再処理工場などとともに、核燃料サイクルの中核施設に位置づけられている。

 国の長期のエネルギー安全保障に不可欠の存在として、無為徒食のまま温存されてきた。

 もんじゅを開発した旧動力炉・核燃料開発事業団と後身の原子力機構に、甘えと傲慢の構造があったことは否めない。これを放置した旧科学技術庁と文科省の責任も厳しく問われるべきである。原因の解明を怠れば、同根の失敗の繰り返しにつながろう。

 もんじゅの存続を求める声もあるが、それには規制委の新規制基準をクリアすることが必要だ。大改修にはおそらく数千億円の巨費を要する。ようやく再稼働にこぎつけても運転の40年制限が目の前では意味がない。

 核燃料サイクルを軌道に乗せるためにも、もんじゅの廃炉は避けられない。

 問題は「ポストもんじゅ」をどうするかだ。もんじゅは不要でも高速増殖炉と核燃料サイクルは必要不可欠である。

 ≪海外と地元に目配りを≫

 今はウラン価格が安定し、油価も下がっているが、この状態が将来も続くと見るのは早計だ。核燃料サイクルによるウランの長期利用の実現が賢明な策である。

 もんじゅより一段高い実証炉レベルの高速増殖炉建設を目指す道がある。それに応える技術者はいないのか。もんじゅが建設された80年代に比べ、素材もシミュレーション技術も隔世の進歩を遂げている。高速増殖炉の真価を発揮する新たな「シンもんじゅ」の開発を期待したい。

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