速報

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北朝鮮がまた飛翔体発射

水中考古学へのいざない(6)

730年の長い眠りから目覚めた元寇船 謎多き「蒙古襲来」実態解明なるか

 鷹島周辺で本格的な水中考古学の調査・研究がスタートしたのは1980年。その10年後、1990年7月に私は初めて鷹島の水中調査に参加した。考古学者の西谷正・九州大名誉教授や水中考古学者の荒木伸介先生(故人)の引き立てだった。当時、私はテキサスA&M大学大学院に在学中で、元寇船の研究を卒業論文のテーマにしており、その下調べのため一時帰国していたのだ。

 ゆったりと、のどかな表情をみせる伊万里湾は、夏の陽光を受け、水面は輝いていた。テキサスの大地の乾ききった灼熱(しゃくねつ)地獄からすると、潮の香りが実にいい。群れ飛ぶかもめや船だまりに係留された漁船群の風景に心がなごんだ。水中考古学を学ぶこともまた、人生の旅路であるように思えてならなかった。

 私はウエットスーツに身を包み、ボンベを背負って漁船の船べりから勇ましく海中に飛び込んだ。ところが、それまで潜ってきた地中海やカリブ海、エーゲ海、大西洋といった明度の高い世界の海とは様相が異なり、黒くて暗い鷹島の海に不安や恐怖が募った。

 当時はまだ軍船の痕跡がある海域がよく分かっていなかったため、ソナーと磁気探査を併用させた機器を用いて深度や地層の測定を行った。そのとき、私の胸にひとつの思いがともった。

 「この広い伊万里湾のどこかに元寇船は必ず眠っている。必ず見つかるはずだ」