「慰安婦像は移転すべきだ」 韓国・東亜日報論説主幹が異例の主張 対北で日本との協力訴え

 【ソウル=名村隆寛】韓国紙、東亜日報は14日付で、「北朝鮮の核に対して日本と協力していくために、ソウルの日本大使館前に設置された少女像(慰安婦像)を移転させるべきだ」とする論説主幹のコラムを掲載した。韓国メディアが慰安婦像移転を主張するのは極めて異例。

 コラムは、昨年12月の日韓合意に、慰安婦像の問題の「適切な解決に向けた韓国政府の努力」が盛り込まれ、像設置がウィーン条約に抵触していると指摘。 その上で、「韓日合意の精神と国際社会の基準に従い、少女像を日本大使館前から移転させ、韓米日の軍事協力を強化する必要がある」と訴えている。

 日韓合意についてコラムは、「韓国政府が日本と合意したのは、経済や安保など韓日の懸案をよそに、葛藤を続けるわけにはいかないと認識したためだ」と断じた。「沈黙する国民の中には、国家存亡の危機に、少女像で韓日関係がきしみ続けてはいけないという懸念は多い」としている。

 さらにコラムは、北朝鮮の情報収集で韓国は人的情報に強く、日本は海上や上空での偵察能力に優れているとし、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の早期締結を訴えた。

 「軍事大国の中国がアジアで中華覇権主義で疾走するなか、核兵器もない日本の再武装を憂慮するのは、過去にだけとらわれた見方だ」とも述べ、韓国内の日本軍事脅威論をも戒める内容になっている。

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