■家族が支え…今の状態知っておく
■再発…受け続けないと意味がない
練馬区は、がんになった人の体験談を紹介するパネル展を、区役所本庁舎や保健相談所、図書館などで開いている。今年は初めて区の職員の体験談で構成。区民により身近な病気としてがんを感じてもらうことで、がん検診受診率の向上を目指す。16日まで。
パネル展は「がんになったひとが実践していること、伝えたいこと〜がんになって、いま、わたしたちが思うこと」と題し、職員5人が告知を受けたときの心境や、現在の思いを率直に語っている。
50代女性は「告知を受けたとき、夫が『10年パスポート作り、10年後も一緒に旅行に行こう』と言ってくれた」と、家族が支えになったことを打ち明け、「がんになって思うことは、いま、自分がどういう状態にあるかを知っておくことが大事」という。
5年以上経ってがんが再発した40代女性は「完治したと思っていた矢先の再発だった。もし検診を受けにいかなくなっていたら…。検診は受け続けないと意味がないと痛感した。いまある生活、家族、仕事といった日常は当たり前ではないのだと思った」と検診を受ける大切さを訴えた。
職場の検診でがんが見つかった60代男性も「自覚症状がないうちに見つかることが大事」と強調。「自分の身体は、自分しかわからない、そんなことはない。検診は家族のため、会社のため、自分のために受けるのだと思ってほしい」と記している。
区内のがん検診受診率は大腸がん24・4%、胃がん8・2%と、国が目標とする「がん検診受診率50%」に比べかなり低いのが実情。区健康実態調査によると、未受診の理由は「おっくう」「健康なので必要ない」などとなっている。
日本人の2人に1人はがんになる時代といわれるが、自分には関係がないと考えている人は少なくないことから、9月のがん征圧月間に合わせてパネル展を企画した。
担当者は「自分や家族のことに置き換えて読んでいただき、がんについて考えるきっかけになってもらえれば」と話している。