出向いた先は、大阪市内のA社支店や複数の高級ホテル、京都府内の旅館など。女性はそこで開かれた展示会で勧められるままに、毛皮のコートやネックレス、バッグなどを購入した。
女性が買った商品のリストには日時や金額、展示会の開催場所などが記載されていた。同じ日に複数の商品を購入した記録も残っていた。
《26年4月4日 バッグ クロコダイル 50万円 某ホテル》
《26年6月11日 リング K18 アメジスト 某ホテル》
《26年8月28日 ショートコート ウィゼル(※毛皮の一種) 26万円 大阪店》
《26年8月28日 ネックレス K18 ピンクゴールド ピンクサファイア 20万5200円 大阪店》
《27年8月5日 バッグ オーストリッチ 20万円 某有名レストラン》…
リッチな雰囲気の展示会できらきら輝く毛皮や宝飾品。まわりからおだてられたのか、女性の財布のひもは簡単にゆるんだ。
25年5月から27年8月までの間、女性が購入した商品の総額は計約550万円。それは年金しか収入がない女性にとって、貴重な老後の生活資金をそのまま失うことでもあった。
証明書、鑑定書はなし
女性は本当に、毛皮や宝石が欲しかったのか。訴訟では認知機能障害があり、財産管理能力が低下していたと主張している。
少なくとも26年ごろにはかかりつけ医が女性の人格・生活変化を指摘していたほか、今年5月の精神科医らのテストの結果、「軽度認知機能障害で、状況によっては正常な判断が困難となる場合がある」と診断されたという。