桜井紀雄が見る劇場型半島

蜜月だった朴槿恵政権と朝鮮日報の間で一体何が起きたのか? 主筆を辞職に追い込み、記者を強制捜査…

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権の「応援団」とみられてきた保守系最大手紙、朝鮮日報と大統領府の関係がこじれにこじれている。同紙が朴大統領の最側近にまつわる疑惑を最初にスクープしたのに対し、親朴派議員らが同紙主筆と企業の癒着を暴露、主筆は辞職に追い込まれた。スクープした記者や、最側近への捜査を検察に要請した特別監察官が、逆に捜査を受けるという異例の事態ともなっている。韓国メディアは互いに非難し合うばかりで、「報道の自由」への危機に一致して対抗するという意思は感じられない。産経新聞前ソウル支局長が在宅起訴された揚げ句、無罪となった事件の教訓は生かされなかったのか-。

「先進国ではあり得ない」記者への強制捜査

 《権力側が嫌がる報道をしたことを理由に、取材記者に対して家宅捜索を行うという行為は、メディアを敵対視した左派政権時代にもなかったことだ。権力とメディアとの関係をめぐる重大なあしき前例として、今後も長く語り継がれるだろう》

 朝鮮日報は8月30日、同紙社会部次長が前日に検察の強制捜査を受け、携帯電話を押収されたことに対し、こう朴政権を痛烈に批判する社説を掲載した。

 同紙が7月、朴大統領の最側近とされる禹柄宇(ウ・ビョンウ)大統領府民情首席秘書官の妻の実家の不動産取引をめぐる疑惑を報じたことが発端だった。検事長が収賄容疑で逮捕された事件で、贈賄側のオンラインゲーム大手のネクソンから不動産取引で便宜を受けたというのだ。