花形出番です

歌舞伎俳優・中村宗生さん(18)(2)

中村宗生さん(寺河内美奈撮影)
中村宗生さん(寺河内美奈撮影)

「芝翫奴」を飛躍の機会に

 小さいときから平成中村座の舞台に何度も出させていただいたことは、大きな財産になっています。

 僕にとっては、父(中村橋之助)と(中村)勘三郎の伯父がヒーロー。中村座の「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」は本当に格好良くて、それは今の立役(男役)志望にもつながっています。伯父とのコンビのように、父の相手役をしたいという夢もあるんです。

 プロの舞台とはどういうものか、最初に教えてくれたのも勘三郎の伯父です。平成16年9月、小学1年で演じた「一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)」のお君では劇中、舞台をはけた途端、歌舞伎座の奈落を走り抜け、急いで拵(こしら)え(衣装)を替えなければいけない場面があった。僕はお弟子さんに背負われ、走ってもらったんですが、終演後、伯父にすごい剣幕(けんまく)で怒鳴られたんです。「こっちは芝居をしてるのに、何走ってんだ!」と。つい、「お弟子さんが…」と言いかけたら、「人のせいにするな」と一喝されました。

 真剣な演技の邪魔をし、客席に足音を響かせた。それは、どんな事情があろうとプロ失格、ということです。伯父の楽屋で正座した足がガクガク震えたことを、よく覚えています。

 舞台は真剣勝負の場。10月からの親子4人同時襲名披露興行も今からプレッシャーを感じますが、この一年で学ばせていただいた成果をご覧いただきたい。特に11月は、3兄弟日替わりで成駒屋(屋号)の代表作「芝翫奴(しかんやっこ)」を踊らせていただきます。稽古中ですが、初挑戦の舞踊で、飛躍の機会と今からワクワクしています。(談)