佐々木正明のリオ日誌

リオで結実した夫婦の愛の物語 視覚失う逆境はねのけたパラリンピアン広瀬順子さん 支えたのは「旦那さん」の悠さん

【リオパラリンピック2016】柔道女子57キロ3位決定戦 銅メダルを獲得した広瀬順子(廣瀬)=9日、カリオカアリーナ(蔵賢斗撮影)
【リオパラリンピック2016】柔道女子57キロ3位決定戦 銅メダルを獲得した広瀬順子(廣瀬)=9日、カリオカアリーナ(蔵賢斗撮影)

 表彰台に立ったとき、目の前にどんな光景が広がっていたのだろう。かねてから憧れていた夢の舞台。メダルの重さを感じながら、日の丸があがっていくときの歓声をどう聞いたのだろう。視覚を失い、一度はあきらめた柔道。その6年後、彼女は逆境をはねのけ、世界のパラリンピアンになった。パラリンピック柔道女子で日本初のメダルをリオデジャネイロ大会でもたらした広瀬順子(25)のそばには夫、悠(はるか、37)がいた。同じ視覚障害者柔道の同志であり、コーチであり、最愛の伴侶。「旦那さんがいるから柔道がより楽しくなった」。試合後、そう言った妻を夫が抱きしめた。

 1990年、山口県山口市生まれ。順子は小5の時に柔道を始めた。少女漫画「あわせて一本!」に憧れて道着を着た。「集中力の高い努力型の選手」とコーチ。めきめきと上達の階段をあがり、高校のときにはインターハイに出場するような実力を身につけた。

 しかし、大学に進学後、転機が訪れた。突然、両目の視力をほとんど失う難病にかかった。まだ19歳。おしゃれもしたいし、恋もしたい。病気にかかった不運を恨み、言いしれぬ不安にさいなまされたこともあったに違いない。薬の投与のため、大好きな柔道からも遠ざかってしまった。

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