2018平昌五輪

演出家が突如辞任し、開会式までも大ピンチに 組織委の無為無策に「このままではB級どころかC級五輪だ」

 この辞任劇の背景には、組織委とチョン氏の契約問題もあった。正式な契約を結ばなかったのだ。つまり6カ月にわたって報償が一銭も支払われず、チョン氏は中央日報に「具体的な条件は口頭で合意したが、契約を先延ばししているのでは出て行けという話ではないか」と怒りをぶちまけた。組織委としてはさまざまな仕事をこなしていることで「開・閉会式の演出に専念できるか分からなかった」と釈明するが、そんなことは採用時に分かりきっていたはず。自らの杜撰さを露呈するばかりだ。

 これでは本気で五輪を成功させる気があるのか疑問が湧く。組織委は財政的な脆弱を指摘されている。SBSによると、今年2月にテスト大会として行われたアルペンスキーなどのW杯のために出張した組織委スタッフの主張費がいまだに支払われていない。額は50万〜100万ウォン(約4万5000〜9万円)だ。

 組織委が理由として挙げたのは「現金が不足している」のみとか。組織委はスポンサー契約で8530億ウォンを確保する予定だが、昨年末で達成率は57%と低調。特に現金不足を補うために銀行の確保を目標に掲げていたが、いまだに国内外の1行も確保されていない。韓国の経済状況が芳しくないとはいえ、「組織委がそれだけ無能ということだ」とSBSは手厳しい。

 組織委の予算は2兆3000億ウォンだが、3兆ウォンに膨らむことが見込まれている。今回の遺恨辞任劇で開・閉会式の予算は1000億ウォンから膨張する恐れもあり、さらに組織委に負担がのしかかる。韓国メディアは残された選択肢として、予算膨張に対する国民の批判、悪口に耐えることを受け入れるか、国際的に恥をかくか-の2つだと指摘。政府と朴槿恵大統領の高所大所に立った決断を期待するしかなくなったとした。

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