北朝鮮核実験

背景に「カダフィの教訓」、「核保有国」誇示し体制護持 礒崎敦仁・慶応大准教授

 金正恩政権の動向は前政権以上に分析しづらいと言わざるを得ない。事例をパターン化して分析するほどの蓄積がないばかりか、最高指導者たる金正恩委員長について語った核心的な証言が欠如していることが背景にある。ただ、あえて述べるならば、物事をスピーディーに運ぶことを好み、特定の政策に一定程度の期間集中する、という傾向を指摘できる。

 今年に入ってからの特徴の一つは、金委員長の動静報道が軍事関連に集中していることであった。金正恩政権は憲法に「核保有国」と明記し、経済建設とともに核兵器を開発していくという「並進路線」を提示したことから、核実験そのものはいつ強行されてもおかしくない状況にあった。

 金委員長は、核開発の背景に「中東諸国の教訓」があると語ったことがある。リビアのカダフィ政権が、米英の要求に応じて核開発計画を放棄した結果、崩壊に追い込まれたことを指している。北朝鮮にとって、「核保有国」であることを誇示して体制護持を図ることは重要な課題である。

 金正日政権下では、弾道ミサイル発射を非難する国連安全保障理事会の制裁決議が出ると、それは「人工衛星」だと反発して核実験を行う、というパターンがあった。ミサイルと核をセットにして対米交渉に持ち込む狙いも垣間見られた。今後の動きを見守る必要があるものの、現在までの金正恩政権は核実験を外交交渉の材料にするという姿勢を明確にしていない。(談)

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