今春開催されたオーストラリア陸軍主催の国際射撃競技会(AASAM=アーサム)の狙撃部門で、陸上自衛隊として初の総合1位を獲得した。実戦経験のある米国や英国など12カ国の精鋭18チームが参加した中での快挙は、自衛隊の射撃技術の高さを世界にアピールした。
銃を撃つ八木亜生都2等陸曹と風向きなどを指示する小城健一1等陸曹は、「今回世界一になれなかったら今後は無理」と周囲に言われるほどの最強ペア。小城1等陸曹は「失敗してもお互いが取り戻すという信頼関係があった」、八木2等陸曹も「2人の呼吸がかみ合っていた」と振り返る。
1位になるまでの道のりは簡単ではなかった。特に小城1等陸曹は「アーサムに出るまで4年間、メンタル面などを鍛え直した。中隊や家族にも迷惑をかけ、出場が決まったときは涙がこぼれた」と話す。
本番(狙撃部門)の標的は約1キロ先。八木2等陸曹は「射撃は常に平常心でいることが重要。1年前には風の影響を完璧に読み切れない部分が自分にあったが克服し、自信を持ってのぞんだ」結果、狙撃部門の総合1位だけでなく、小銃部門でも見事優勝した。
アーサムでの結果が「(テロなどさまざまな脅威に対する)抑止力につながれば」と期待する2人。今後の目標は射撃技術のさらなる向上に加え、後進の育成だ。八木2等陸曹は「指導者としてアーサムへ行き、次に出る選手を優勝させたい」と力強く語った。(角田純一)