【ワシントン=青木伸行】米国務省のトナー副報道官は6日の記者会見で、オバマ大統領とフィリピンのドゥテルテ大統領との会談が中止されたことについて「言葉は重要だ。強い協力関係へ向けた誠意ある雰囲気を望む」と述べ、オバマ大統領をこれ以上、誹謗(ひぼう)中傷しないよう牽制(けんせい)した。
ドゥテルテ氏は会談に先立ち、オバマ氏について「おまえは何様だ」「ろくでなし」と毒づいていた。トナー氏は会談中止の理由を、暴言により「生産的で建設的な議論ができないためだ」と改めて説明した。
また、ドゥテルテ氏が反発する米側による人権問題の追及について「麻薬との戦いの手段は、国際基準に一致するものでなければならない」と述べ、ドゥテルテ氏の指示により、麻薬犯罪の容疑者を殺害している現状を改めて批判した。
そのうえで「人権問題をめぐる話し合いは、世界の多くの同盟・友好国と行っており、普通のことだ」と述べ、拒否すべきではないとの認識を示した。
トナー氏はまた、フィリピンはアジア太平洋地域における重要な同盟国の一つだと強調する一方、今回の会談中止が両国関係に及ぼす影響については論評を避けた。
一方、カーター米国防長官は6日、訪問先のロンドンで、両国の同盟関係は「強固で、長年積み重ねられたものだ」と指摘した。フィリピンのロレンザーナ国防相については「協力できる全てのことをよく知っている」と評価した。