「国民目線で裁判の質アップを」 菅野最高裁判事が就任会見

就任会見を行う最高裁の菅野博之判事=5日午後、東京都千代田区隼町の最高裁判所(宮川浩和撮影)
就任会見を行う最高裁の菅野博之判事=5日午後、東京都千代田区隼町の最高裁判所(宮川浩和撮影)

 大阪高裁長官から最高裁判事に就任した菅野博之氏(64)が5日、最高裁で会見し「国民の間で議論が煮詰まっていない案件も裁判になるなど、世の中が(裁判に)求める質がどんどん上がっている。国民目線で質のアップを日々考えていかなければならない」と抱負を語った。

 さらに、「1人の経験、知識には限度がある。世の中のいろんな意見を吸収し、ベターな結論を導き出したい」と述べ、複雑化する訴訟に対応するとした。

 火星探検隊になることを夢見る科学少年だったが、高校時代、下宿先の隣人だった新聞記者との交流で政治・社会・経済の知識を吸収。文系的思考の面白さを知り「理屈で物事が決まる」と司法試験を志した。最高裁判事就任にあたり「まだ勉強できる喜びと、今までもっと勉強していればという反省がある」と感じているという。

 同じ裁判官出身で8月24日付で定年退官した千葉勝美氏の後任。東北大出身で、水戸地裁所長や大阪高裁長官を歴任した。(大泉晋之助)

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