自然による大量虐殺 トナカイ300頭を殺した「雷のナゾ」

不幸な4本脚

そして4本脚の動物の場合、さらに状況は悪くなる。トナカイは大きな動物で、前脚と後脚の間は数フィート離れている。これにより、体内の被害がさらに大きくなった。

地面に流れるたっぷりの電気が、トナカイの前脚にたどり着く。電気は抵抗が最も少ない場所を流れ、前脚、体腔--心臓や肺などの生命維持に必要な重要器官がある場所--へと流れ、後脚に流れて地面に戻る。人間は足と足の間隔が狭く、電気が片足からもう一方の足に行くまでの間に心臓を通らないため、足から電流が流れても一時的に痺れるだけかもしれない。しかし4本脚のトナカイにとっては、致命的になる。前脚から後脚に電気が流れる間に、電気は心臓を通っていくのだ。

ラングミュアー研究所で雷伝搬を研究しているリチャード・ソネンフェルドは、ノルウェーのニュースを最初に見たとき、永久凍土は関係ないと思っていたと言う。「しかし少し詳しく調べてみると、(大量死には)永久凍土が関係しているかもしれないと思いました。本当に興味深い出来事です」と彼は言う。「凍結された土によって、抵抗性が増すことは間違いありません。この大量虐殺には、雷がわずか一撃あれば十分だったのです」

ノルウェーは世界のほかの国と比べて落雷が実に少なく、米国フロリダよりも100倍少ない。そのため、このようなことが近いうちに再び起こる可能性は低い。ただし、気候変動によって21世紀には今後50パーセント落雷が増えることが予想されている。さらなる異常気象によって大気には潜在的なエネルギーが増え、それがさらに致命的な雷をつくり出すことになるかもしれない。

会員限定記事会員サービス詳細