殺処分直前から警察犬の「アンズ」が本に 飼い主「頑張る勇気持って」

 鈴木さんとアンズの出会いは、平成25年3月に遡(さかのぼ)る。県動物指導センター(笠間市日沢)に知人を訪ねたとき、たまたまとある場面に遭遇した。当時の飼い主が「しつけ本の通りに動かない。バカな犬だ」と言って、殺処分を依頼していたのだ。

 クレート(かご)の中で震えるトイプードル。鈴木さんは引き取ることを決意した。ただ、このときは「しっかりしつけをして、人に譲ろう」と思っていた。

 著書には、引き取ってから、警察犬を目指すことになるまでの経緯や、小型犬のハンディを乗り越え、懸命に訓練を行い、才能を開花させていく様子がつづられている。人が手を振り上げると、おびえる場面も描かれており、鈴木さんは、以前の飼い主から虐待を受けていたと推察する。

 「引き取ってから約3年、多くの人に触れられ、愛されてきた。それでも、たった1人の暴力で負った心の傷は消えない」

 引き取る前のアンズの過去に思いをはせると、温厚な人柄の鈴木さんも、その表情は自然と険しくなる。本には「いじめや暴力は絶対にいけない」というメッセージも込めた。